メニュー
会員
正会員28名
賛助会員10団体
味の素㈱
味の素ファインテクノ㈱
ノボザイムズジャパン㈱
サントリー食品インターナショナル㈱
天野エンザイム㈱
長瀬産業㈱
キッコーマン㈱研究開発本部
味の素ゼネラルフーヅ㈱
㈱明治 研究本部
三州食品㈱
私たちのミッション

(注)法人名を「バイオ未来キッズ」に変更申請中です。
子供たちに対する教育・啓発活動についての想い
私たちのNPO法人の構成員は、企業や大学で、長年バイオや食・味覚に関する実業や研究に携わってきました。そこで、法人の活動としては構成員のこれまでの実社会での経験をコミュニケーションの中心的手段に用いて、「バイオ・食・味覚」に関する広報・普及事業を行なうことを考えております。その中でも特に学齢期の子供たちに、やさしく、興味深いバイオ・食・味覚に関する教育・啓発事業を行ない、食べることへの関心を高め、日本の食文化に誇りを持つように導き、またバイオ分野の人材育成に寄与するなどの活動を行って行きたいと考えています。
NPO法人の活動の中で、特に学童期の子どもたちに対する啓発を重視したのは、「バイオ・食・味覚」というテーマによって、子どもたちが将来様々な課題解決を試みる際の、一つの考え方の枠組みを提供できるのではないかと考えたからです。人の知能、知識の発展を仮にコンピュータに喩えれば、出生から学齢前の時期に起きる神経細胞の劇的増加と、それぞれの生育環境に適応しながら起きる大規模な神経回路の形成は、コンピュータの「ハード」の構築に喩えられるのかも知れません。そして、小・中学生を含む学童期は、子供たちの中に既に出来上がった「ハード」に有用な「ソフト」をインストールする作業と、インストールされた「ソフト」を活用するための訓練に費やされている時期とも喩えられるでしょう。子供たちの中で、「バイオ・食・味覚」というテーマが「人間の生命を考えていくための一つのソフト」の働きを担ってくれることを願っています。
ここで、もう少し具体的に私たちNPO法人の目指すところをご理解いただきたくために、いったん「バイオ」、「食」、「味覚」をそれぞれに分割した上で私たちの想いを述べることにいたします。

<「バイオ」と生命>

食物の獲得が専ら個々人の活動に委ねられていた時代には、例えば乱獲によって食糧資源を枯渇させるような持続可能性に反する行為に対しては、必ず何らかの社会的抑止力が働いていたはずです。このようなタブーが無くなった現代では、必要な知識と技術がない限り「持続可能な」自然や社会の仕組みを意図的に実現させることはできません。私たちの「食」が他の生物の生命を犠牲にして成り立っていることについての正しい認識は、持続可能な社会と自然を考えていく際に不可欠な知識の一つでしょう。
このような観点から云えば、味噌、醤油、酒、チーズなど各種の発酵食品の製造過程に微生物の働きが利用されてきたことは、一つの興味ある例示として機能するのではないでしょうか。何故ならば、発酵食品には莫大な数の微生物の生命活動が用いられていることには普通は気付かないからです。この事実にさえ気付いてもらえれば、発酵食品を作るという営みが成立した理由として、微生物とわれわれとの間には生物としての共通の代謝機能が存在すること、さらにゲノム、タンパク質合成などの生命装置にも強い共通性があることにまで考えを進めることが出来るかも知れません。
以上は「発酵食品」に限って述べてきましたが、微生物、植物、動物などの生物としての基本的な働きを人間が活用する営みを、バイオテクノロジー、あるいは「バイオ」と表現することにすれば、「バイオ」は科学として、また新しい技術創生の一つの手段として、今後とも大いに発展の可能性のある私たちの活動分野であることを理解してもらえると考えています。

<「食」と生きること>

「食」を通じて得られる様々な食品成分、あるいは栄養成分は、私たちの身体に組み込まれた多種多様な生理機能との間に複雑な相互関係を創り出し、時を変え、場面を変えて私たちの体と心を支えています。この「食」によって自己を維持しつつ、生殖活動によって世代を重ねることに成功した動物種だけが今の地球上に存在しているのですから、「食」の獲得こそは、動物にとっての最優先課題です。人が生まれて直ぐに直面する母子関係、そして家庭環境、さらに社会環境などの中には、個々人の差異を越えた或る種の斉一性がしばしば観察されますが、食を得るための効率性、合理性を追求した結果がしばしば反映されているのではないでしょうか。
数百万年の歴史を経て人類は1万年前に食物獲得の手段としての「農業」を確立させ、その後現代に至る「文明」の中で、食を提供する少数の人々と、それを享受する大多数の人々に分化を遂げました。したがって、「如何に食を得るか」という動物が生きるための中心的課題は人々の念頭から離れつつあります。しかし、例えば、発達心理学で語られている母子関係の変遷は、母乳のみを「食」として生育を始め、生育段階に応じて母乳以外の「食」も取りつつ、やがて3年程度で母乳を離れて自立していたと考えられている“本来的な”子どもの栄養要求を、母子の繋がりの中で如何に担保するための変遷と考えることも可能でしょう。
このように、今ではともすれば忘れがちな「食」の本質的な意義を考えることを通じて、私たちの生理機能はもとより、考え方や、さらには社会習慣の形成にも「食」が大いに影響を与えていることを理解してもらえるのではないかと考えています。

<「味覚」と脳のはたらき>

有毒なものを避けつつ適切な「食」を選択するためには、先祖の試行錯誤的な営みの集積が重要な役割を演じてきました。「母親が食べるものだけを子が食べる」という枠組みです。そのような枠組みの中では、食べる側の動物と食べられる側の植物には安定した相互関係が生まれてきます。植物には動物によって種子をなるべく遠くまで拡げてもらうために、その種子を含む果実に、甘味とか独特の香りを附与したりする営みが生まれてきます。さらに、植物が種子の成熟を待って果実の呈味性を酸味から甘味へと変化させる、あるいは、採食を拒否するために強い苦味を発現させるなど、「食」の提供者側の「呈味」と、受益者側の「味覚」とは、両者間のコミュニケーションの重要手段の一つとなりました。そして人に限っては、「味覚」を脳の高次機能が関与する“言葉”で表現することができたために、「味覚」は単なる「食べられる/食べられない」を伝えるシグナル以上の機能を獲得して、例えば「快い苦味」などの表現までも可能になりました。その結果として、「味覚」は「食」を楽しむことの最重要な機能に位置付けられるようにもなりました。
人の「味覚」の成立にはこのような背景が考えられますから、上述の「バイオ」、「食」の話題と同様に、「人と他の生物、あるいは人と人との間に見られる相互関係の起源を探る」といった知的活動を提供することも可能になるのではないでしょうか。さらに、「味覚」については、民族間に存在する嗜好の差や、その背景にある「食」文化の違いなどを話題にすれば、他国の人と自分達の違いを合理的に理解する一つの“よすが”が提供できるのかもしれません。


繰り返しになりますが、私たちのNPO法人のメンバーは企業や大学において長年バイオや食・味覚に関する実業や研究に携わって参りました。このような経歴の中で得た実体験を最大限に活用して、身近な「バイオ・食・味覚」というテーマの中から、新たな“気付き”を社会に提供することが使命と考えております。この文章の前段では特に学童に対する教育・啓発活動を中心に、「バイオ、食、味覚」をそれぞれに項を改めて私たちの思いの一端を述べて参りましたが、生徒諸君が私たちの提供する身近な話を通じて、「人と他の生き物とのつながり」、「自分と他の人との関係」といった問題を自分自身で考える切っ掛けをつかんでもらうことができれば、私たちにとってこれほどの達成感はありません。
学童に対する教育・啓発活動に加えて、「バイオ・食・味覚」に関する広報・普及事業を社会に広く問うて行くことも使命といたしておりますが、今後は、皆様からのご叱正を最良の糧にして、日々活動を進化させていくことに最大限の努力を傾けて参る所存です。