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刊行にあたって
 本書は、現在、米国において実際に使用されている教科書で、1部「細菌から植物まで」、2部「動物」、3部「細胞と遺伝」、4部「ヒトの生物学と健康」、5部「環境の科学」からなっています。生物科学の全分野が網羅されており、個別のテーマはもちろん、生物全体が有機的につながっているという知識の根本が理解できる内容になっています。
 各部は5〜7章、各章はおおむね3〜5の項目で構成されています。各項目は、はじめにポイントとキーワードが示され、それを念頭に本文を読むことでより理解を深め、さらに、その理解を項目末の「まとめ」で確認することができます。また、本書の大きな特徴として、本文中に「実験」「科学的に書こう」「家でやってみよう」「学習室」など、実際に観察や記述を行うコーナーが散りばめられています。「実験」では、動物の行動を観察・考察したり、消化系のモデルをつくったり、本文で読んだ知識を実体験できるように工夫されています。「科学的に書こう」では習得したことが具体的に表現できることが試されます。項目末の「学習室」では、習熟が進んだステージで、より理解を深める実験の取り組みへとつなげられています。文章を読むだけでなく、このような体験を繰り返すことによって、さらなる理解が図れるようになっています。
 各部の冒頭の「科学者への道」では、現在活躍する科学者を取り上げ、なぜその道を志すようになったのかや、新しい知識を創出しようと取り組んでいる実態が生き生きと描写され、興味深く読み進められるように工夫されています。
 このように、読者の好奇心をかきたてる書き出しをはじめ、全文がわかりやすい文章になっているのに加えて、調査、観察、実験、考察、科学的記述などで実体験をしながら理解が深められるようになっています。こうした一連の作業において、先生はもちろん、クラスメートや家族などと対話や討論をしたり、共同作業したりすることが組み込まれており、コミュニケーションの大切さも学びながら、生物の本質を理解させようとする執筆者の思いが伝わってきます。

 私は、小学校から大学まで生物を学びましたが、このように「生物」の本質に迫り理解させようとする内容・構成の教科書に出会ったことがありません。いわゆる暗記モノという印象が強く、まったく興味が持てませんでした。しかし、ニューヨークから取り寄せた本書を読み始め、1部1章の分類に関する項目の冒頭で、「分類する」ことの意義・大切さについて書かれた箇所を読んだとき、それまで机上のものであった事柄が、実に鮮やかに目の前に差し出され、まさに「腑に落ちた」感がしました。それをきっかけに本書に引き込まれ、一気に読み終えました。そして、科学の本質を学ぶ興味を呼び起こしてくれる本書を、ぜひ日本において多くの方々に読んでいただきたいと思うようになりました。

 認定NPO法人バイオ未来キッズの仲間たちと本書の翻訳・出版について協議したところ、私たちの活動の趣旨ともぴったり合致するということで、この度、出版社のご協力を得、刊行の運びとなりました。米国では中学生の教科書として使用されていますが、高校生、大学生、指導・教育される先生方、保護者・ご家族の方々、そして広く一般の方々にも読んでいただきたいと思っています。
 「科学技術立国」を標榜するわが国において、科学(理科、生物)の教育によって、次代を担う子どもたちにその基盤を形成するということが重要だと考えます。特に、国全体として科学リテラシーを向上させ、キャッチアップ体質から脱却してフロントランナーとして活躍できる人材の創出が必要とされている今日、本書が、微力ながらその一助となることを願っています。

 最後に、本書の刊行にあたって、ご支援、ご協力、ご尽力をいただきましたすべての皆さんに、深甚なる感謝を申し上げます。特に、監訳者、訳者の方々をはじめ、認定NPO法人バイオ未来キッズの会員の皆さん、事務局長の藤原宏子さん、西村書店の方々に深く感謝いたします。

 日本語版監修者 西山 徹

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