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第1回「発酵食品つくり」教室の報告(2014.7.29)
「発酵食品つくり」教室  
作ってみよう!家庭でできる「発酵食品つくり」

 納豆、味噌、甘酒、漬物、ヨーグルト…。発酵食品が、今、静かな人気を集めています。目に見えない小さな微生物の働きによって作られる発酵食品は、人の手だけでは決して作ることができないおいしさや、高い栄養価があり、健康への効用が見直されています。「発酵食品作りは手間がかかる、でも自分で作るとおいしいから作る!」。そんな思いを多くの人に持って頂けるように、家庭で簡単につくれる「発酵食品つくり」教室を開催しました。

 主催は墨田区「本所地域プラザ BIG SHIP」で、NPO法人バイオ未来キッズが協力し、二日間にわたって納豆、甘酒、ヨーグルトの家庭での作り方をわかりやすく指導しました。

第1日目



  • 「発酵とは?」のお話では、伝統的な日本の発酵食品つくりにかかわる「カビ」、「酵母」、「細菌」類の性質や期待できる発酵食品の例を挙げて説明しました。
    参加者には、微生物の働きで食品の性質が変わることをよく理解していただけたこと思います。

    出典:くらしと微生物 村尾澤夫他共著 培風館

    発酵によって何が変わるのか?

    (1)保存ができる:発酵菌が他の雑菌の侵入を許さないので、保存性が向上する
    (2)栄養成分が増える:発酵菌が多量の栄養成分を食品中に蓄積する(ビタミンなど)
    (3)食品が美味しくなる:旨味・酸味・甘味が増え、風味が向上する
    (4)香りがつく:発酵食品はそれぞれ特有の匂い(香り)があるが、全て微生物が作り出したもの。食欲を高めるものが多い

  • 発酵食品つくりの実習では、手順書に従ってヨーグルト、甘酒、納豆のつくり方を実演によって指導しました。

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 発酵で一番大切なことは、発酵中の温度管理ですが、家庭でも簡単に温度管理ができるように発泡スチロールの保温箱や電気炊飯器の活用を提示しました。実際にこの方法で実践しましたが、翌日には順調に発酵が進行したことが確かめられました。

納豆用発泡スチロール箱と足温器

また、教室で仕込んだ「ヨーグルト」は参加者が自宅に持ち帰り、手順書の指示に従って発酵を経験していただきましたが、翌日には順調に出来上がっていました。


第2日目



  • 「ヨーグルトと乳酸菌のまめ知識」のお話は、(株)明治の梁原智晶氏が担当され、発酵乳の歴史、日本の乳文化、ヨーグルトの健康への有用性、ヨーグルトと長寿の関わりについて説明されました。

    fig5 fig6


    梁原氏のお話しは、参加者に大変わかりやすく好評でありました。また、「明治ブルガリアヨーグルトLB81」の乳酸菌を顕微鏡で観察させていただきました。顕微鏡で生きている細菌類を初めて見た人からは、感動的だという声が上がりました。

  • 発酵が終わったヨーグルト、甘酒、納豆は、それぞれ試食をして、美味しい食べ方の提案もさせていただきました。製品はいずれも発酵が順調に進んだと考えられ、食べ比べた結果、自作品は大変好評でありました。特にヨーグルトでは、参加者の約半数が自作品の方が美味しいとの評価でした(原料の牛乳が「明治おいしい牛乳」を使ったこともある!)。また納豆は、一部の参加者から「こんなにおいしい納豆は初めて食べた!」との最高の評価をいただきました。これこそが自宅で発酵食品を作る醍醐味であり、私たちの最高の喜びでもあります。

 この教室で参加者は自作の発酵食品を味わい、「発酵」の基本を理解していただけたこと、発酵は手間のかかる仕事であるが手間を惜しまず美味しいものを作りたいという気持ちを持っていただくことができたと思っています。

 私たちは、「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録された今、伝統的な発酵食品も改めて再評価されるべきものと考えています。当法人のポテンシャル(微生物を利用した味噌、醤油、納豆、甘酒、漬物、麹などの発酵食品つくりの指導)を生かして、地域や学校教育現場で次の世代に正しく「発酵食品」を伝えること、さらに、日本料理はおいしさに加えて健康にも優れていることを発信していくことが、我が法人の使命であることを改めて実感した次第です。


「作ってみよう!家庭でできる発酵食品つくり」教室概要

開催日時平成26年6月18日、19日
講師吉村実(NPO法人バイオ未来キッズ理事、農学博士)
梁原智晶((株)明治 食品開発研究所 管理栄養士)
技術指導竹中義弘、吉井寛依、永井和夫、森野浩、源良樹、横関健三
藤原宏子(以上NOP法人バイオ未来キッズ 会員/職員)
加藤裕子、小松恵徳(以上(株)明治)
開催場所本所地域プラザ BIG SHIP 2階 学びあい体験室
参加者地域の方々15名
主催本所地域プラザ BIG SHIP 理科実験部会(村井朝夫部会長)
協力NPO法人バイオ未来キッズ